ベースでアドリブソロ弾けるくん(9) Watermelon Manから…

ベースでアドリブソロ弾けるくん(9)
〜『Watermelon Man』から学ぶ、BluesのV-IVのソロの弾き方〜

皆さん、3コードブルースのソロってどう弾いてます?「ブルースはフィーリングや」「ペンタ一発でも弾ける」「ブルーノートスケールでしょ?」っていう感じですか?

それ、本当に上手くいってますか?

僕の経験上、ブルースのIコードやIVコードのところはそれでなんとなく弾けてる感が出せていましたが、IV-Vの部分で「なんかハマっていない感」が出ます。ソロがなんとなく弾けるようになってきた頃や、マイナーペンタトニックスケールを覚えてきた頃にここだけはなんか上手くいかず解決方法もわからず、なんとなくやっっていました。

ギタリストを参考にしようにも、チョーキングや同じ音のロングトーンなどサステインの短い、音の低いベースにはちょっと参考にならないソロが多いし・・・。

そこで今回はジャズの巨匠、フレディー・ハバードのソロを参考にV-IVの弾き方、考え方を書いていきます。

最初に彼のソロを参考に勉強して、最後にジャムセッションでよくやる、3コードブルースのコード進行、AやEみたいなキーでも解説していきます。

“Watermelon Man”

今回参考にするのは、Herbie Hancockのアルバム、『Takin’ Off』から、1曲目の『Watermelon Man』です。
この曲は変形ブルース(ブルースを元にしたちょっと変化のついた曲)で16小節です。さらに、II-Vのあるジャズブルースではなくて、ロック系、トラッド系のV-IV進行のある3コードブルースを元にしています。

コード進行を確認します。

キーはF。ブルースなので、F Mixo-Lydian(ミクソリディアン)です。
そして、ブルースはコードがF7、Bb7、C7と三回変化します。ベーシストの皆さんはこう考えるはずです

・F7にはFミクソリディアン
・Bb7にはBbミクソリディアン
・C7にはCミクソリディアン

ベースラインを考える時はそうですよね?で、ソロになると、スケールの上下運動になってしまうと・・・。

ソロに慣れてきた人は、

・F7とBb7にはFマイナーペンタ
・C7ではCミクソリディアン??

みたいな感じですかね。ハテナなのはF7とBb7ではフレーズがなんとなく弾けてる感じがするので、C7-Bb7の部分がコード進行が早くて上手く「歌えない」「弾けてる感じがしない」「ぶっちゃけ誤魔化している」部分だと思うからです。

ここで、じゃあ、僕の考え方を段階を分けて書いていきます。

・F7にはFミクソリディアン
・Bb7にはFドリアン
・C7にはCミクソリディアン

ここからシンプルにして、

・F7にはFメジャーペンタ
・Bb7にはFマイナーペンタ
・C7にはCペンタ+7th

こんな感じです。

では、実際にフレディー・ハバードのソロ、しかも問題部分のV-IVコードの部分のソロを見ていきます。

こちらは僕の耳コピです。ベースで再現できるように、ベーシスト向けのトランスクライブで書いています。
Watermelon Manのソロ1コーラス目のV-IV部分です。

これを弾いていて思うのが、C7部分にはCミクソリディアン。Bb7部分にはFマイナーペンタを使っているんじゃないということです。要は、F7、Bb7、のコードチェンジ部分はほぼ一発みたいな感覚で弾けるんだけど、V-IVの部分はそうはいかないいということです。

僕がこれがミソだなあと思うのが、C7部分で引いた6度の音、「ラ」が、Bb7部分では、「ラ♭」になっている点です。Fを中心に見ると、FメジャーがFマイナーになっているということです。

つまりこの曲、というか3コードブルースでは、キーの音「F」を中心に考えた時、FメジャーとFマイナーが行ったり来たりするようなサウンドが随所に現れます。それをしっかり表現できると「弾けている」感じが出るわけです。

12小説のブルースと違い、この曲は16小節なので、C7-Bb7が3回出てきます。僕的には、これはフツーの3コードブルースでは短くて歌いきれないV-IV部分を3回も演奏できる「チャンスコーナー」だと思っています。
同じフレーズを2回やって3回目に3段落ちの形で演奏して、最後のF7はお休みしたり。
同じフレーズを3回演奏して、F7で違うフレーズで変化を出す、ということもできます。ありがたや。

では、たとえば3コードブルースでよくあるキーAのブルースで応用してみましょう。

ではV-IVの部分といったら、最後のE7-D7の部分です。Watermelon Manと違い、1回やったらI7になるのでお間違い無く。ここの考え方は、

・E7はEミクソリディアン
・D7はAマイナーペンタ
・最後に解決するA7はAメジャーペンタ

という感じです。

たとえば、こんなフレーズで演奏してみました。

いかがでしょうか。練習にはYouTubeのこんなのを使うと便利です。

Blues Shuffle In A (no bass)

いかがでしょうか?まさか3コードのブルースを勉強するのにジャズミュージシャンが出てくるとは。でも、ジャズはロングトーンよりも「フレーズ」で演奏することが多いので、ギターみたいにロングトーンを多用できないベーシストにはだいぶ参考になるのです。

あとはこの考え方で練習して、フレーズを増やし、人とセッションしてみてください。

一番のコツは、VからIV、IVからIへの繋ぎを上手くやることですね。難しいんですけどね。だから練習のネタが生まれるってもんです。頑張ってください!

他にもためになる色々なアドバイスやレッスンを用意していますので、気になった方は、僕のホームページのContactよりご連絡ください。

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